Toter Raum, Tokio 2010 (死の部屋)
レセプション:10月12日(火) 18:00-20:00
このたび、10月12日(火)より、グレゴール・シュナイダーの個展 “Toter Raum, Tokio 2010(死の部屋)”を開催致します。
8年ぶりの個展となる今回、死者のための部屋「死の部屋」をギャラリー内に建設します。
作家が長年にわたって制作しつづけてきた「部屋」の作品とは、人々がそこに入り、体験することで生じる記憶と積み重ねられる時間によって際限なく変化していくものです。一貫して未知のもの(体験や認識)、不可視のものを追求してきたアーティストが、究極の未知である「死」をテーマとした部屋の制作に至ったのは必然であるといえます。「死は決してタブーではなく、生と同等の尊厳をもって受け止められるべきものである」というシュナイダーが、死者のために制作したこの部屋は、生と死という、わかちがたく結びついた二つの要素についての考察をうながします。
シュナイダーは、16歳の頃から、自宅の既存の壁の内側に別の壁や窓をつくることであらたな空間を創造する、という行為を繰り返していました。未知の空間についてのアーティストの探求は、私的な空間からパブリックな空間へとその範囲を広げ、2005年には、イスラムのカーバ神殿を模した黒い立方体の作品をヴェニスのサンマルコ広場に建築しようと計画、また2007年には、伺い知ることのできない収容所の内部を美術館内に再現するなど、大規模な展開を見せています。また彼は、ギャラリーや美術館の中に真の暗闇をつくり出した作品などによって、不可視のものへの恐怖心、同時に否応無くわき起こる好奇心といった、隠された感情と対峙する場を生み出し続けています。
本展に合わせ、テキスト・シリーズ第3弾「グレゴール・シュナイダー:死は芸術作品か?」を出版致します。
グレゴール・シュナイダー
1969年、ドイツ・ライト生まれ。同地在住。12歳で作品制作をはじめ、16歳でドイツ国内で個展を開催。2001年第49回ヴェニス・ビエンナーレ金獅子賞受賞。ロサンゼルス現代美術館やK21美術館(ドイツ)、MMK (フランクフルト)などで大規模な個展を開催する他、ドイツ国内に限らずロンドン、ワルシャワ、ミラノ、イスラエル、オーストラリアなどでも個展を開催。近年はハンブルグ現代美術館やメンヒェングラートバッハ美術館に大規模なサイト・スペシフィックの彫刻/空間を展示して話題になった。2010年Peill prize 受賞。