News from the Near Future
レセプション:4月4日(水) 18:00-20:00
このたび、4月4日(水)より、当画廊におきまして、フィオナ・タンによる展覧会を開催する運びとなりました。3年ぶり3回目の個展となる今回は、日本未発表の映像作品「Downside Up」,「News from the Near Future」および写真作品「West Pier」シリーズを展示いたします。
インドネシアに生まれ、オランダを拠点に活躍するフィオナ・タンは、反中国人暴動によって離散した自身の家族を追うドキュメンタリー・フィルム「May You Live in Interesting Times」(1997)をはじめ、ヨーロッパで高い評価を受けています。彼女が作品を通じてアイデンティティを追求するのは、中国系インドネシア人とオーストラリア人の両親をもち、東洋と西洋で育った背景があります。しばしば既存の記録フィルム素材を作品に取り入れ、ドキュメンタリーとフィクションの間を行き来するような表現は、まるで自分自身の文化的・歴史的ルーツを辿っているようでもあります。
夕暮れ時に通りを行き交う人々が上下逆さに映し出され、いつしか人々の影が人間へ、人間は影へと代わっていく「Downside Up」(2002)。海岸に佇むヴィクトリア風の男女、海水浴を楽しむ人々、汽笛をならす蒸気船、ヨーロッパ河川の氾濫など、水に関連した様々な記録映像のコラージュを洞窟の中から見つめる「News from theNear Future」(2003)。彼女が元来関心を寄せている時間や記憶といったテーマが、独自の映像言語で語られています。
Fiona Tan フィオナ・タン
1966年インドネシア生まれ、オランダ在住。映像作家。中国系インドネシア人の父とオーストラリア人の母を持つ。88年からオランダに移り92年までアムステルダムのアカデミー、96年-97年に同地の国立美術学校に学ぶ。これまでヨーロッパを中心に個展・グループ展を開催。2006-2007年にかけて、ヨーロッパ巡回個展「Mirror Maker」を開催。2007年Deutsche Borse Photography Prize受賞にともない、現在PhotographersGallery(ロンドン)にて、グループ展を行っている。イスタンブール・ビエンナーレ、ICPトリエンナーレ、ドクメンタ11、ベニス・ビエンナーレ、ベルリン・ビエンナーレ、横浜トリエンナーレなど、これまで数多くのアートショウに参加、精力的に制作活動を続けている。