New Paintings
このたび5月30日(水)より、当画廊におきまして、ラウル・デ・カイザーによる展覧会を開催する運びとなりました。多くのアーティストが敬愛し「Painter’s Painter」と称される作家の6年ぶり2回目の個展となります。今回は、新作を中心にペインティングおよびドローイング計20点を展示致します。また、展覧会カタログも合わせて発行いたします。
ベルギーのデインズに生まれ、現在も同地で活動を続けるラウル・デ・カイザーは、33歳にして独学で本格的に絵画の道を志しました。一見頼りない印象さえ与える彼の作品は、絵画を構成する形・色・空間などの基本要素と純粋に向き合うことにより、独特の雰囲気を漂わせています。それは容易に説明や分類が出来るものではなく、独自の視覚言語を用いて表現されるシンプルな画面は、個人的でありながら鑑賞者の心に静かに語りかけます。世界的にその名が知られようになったのはここ20年程のことで、孤独や混乱、また矛盾を経験しながらも通俗に依存することのなかった真摯な創作内容は、人々の心を確実に捉え、第一線で活躍するリュック・タイマンスやマルレーネ・デュマスなどにも影響を与えています。
Raoul De Keyser ラウル・デ・カイザー
1930年ベルギー生まれ。60年代にヨーロッパのフォーマリズムに傾倒したNieuwe Visie(New Vision)の一員となる。86年ベルギー・ゲントでの「initiative」展で評価を得て、91年にKunsthalle, Bern(スイス)、Portikus, Frankfurt am Main(ドイツ)で個展を開催。92年のドクメンタIX(ドイツのカッセルで5年ごとに開催される現代美術の国際展)で大きな注目を集め、国際的な評価を得る。その後もヨーロッパを中心に数多くの展覧会で紹介される。2004年にWhitechapel Art Gallery(ロンドン)から始まった回顧展は、Musee de Rochechouart, Rochechouart (フランス), De Pont, Tilburg (オランダ), the Fundacao Serralves, Porto (ポルトガル)、the Kunstverein St. Gallen, St. Gallen (スイス)へと巡回した。本年もベルギーでの個展が決まっており、70歳を過ぎた今も現役として精力的に創作を続けている。