New Overpainted Photographs
このたび、2月5日(金)より当画廊におきまして、ゲルハルト・リヒターの展覧会を開催する運びとなりました。4年ぶり8度目の個展となる今展では、多様なスタイルで制作を続けるリヒターの重要な作品群とされる”オーバーペインテッド・フォトグラフ”の新作約30点を展示致します。
現代絵画の巨匠として世界的に高い評価を得ているリヒターはこれまで、白黒の写真を元に描いた絵画「フォト・ペインティング」、色見本のような幾何学的な絵画「カラーチャート」、ロマンティックな風景画や静物画、大胆なモノクロームの「グレイ・ペインティング」、カラフルな抽象絵画「アブストラクト・ペインティング」、ガラスを用いた作品など、多様なスタイルを同時期に平行させながら、一貫して「絵画の可能性」を追求し続けてきました。近年では、世界遺産「ケルン大聖堂」の大規模なステンドグラスを手掛けるなど、更なる活躍の場を広げています。
今展に合わせ、リヒター研究の第一人者でもあるベンジャミン・ブクロー氏(美術史家/評論家)によるアトラス論、日本でのゲルハルト・リヒター回顧展を企画担当した林寿美氏(川村記念美術館)によるリヒター論、初邦訳を含むリヒター本人の日記やインタビューを収録したテキストシリーズ第一弾の刊行を予定しています。
ゲルハルト・リヒター
ゲルハルト・リヒター
1932年ドレスデン(旧東ドイツ)生れ。ケルン在住。東ドイツ政府の下、美術教育を受けたが、西ドイツ旅行中に出会った抽象表現主義に強い影響を受け、ベルリンの壁のできる半年前にデュッセルドルフへ移住。1962年に新聞の写真を元にした油彩(机)に作品番号1をつけ、発表。以後制作した作品に番号をつけている。1964年にはミュンヘンとデュッセルドルフでの初の個展、1972年にはヴェネチア・ビエンナーレを皮切りに、国際展に多数出品。1997年には第47回ヴェネチア・ビエンナーレ金獅子賞、日本においても同年、高松宮殿下記念世界文化賞を受賞する。これまでニューヨーク近代美術館やデュッセルドルフの州立美術館K20など欧米を中心に、また日本では2005年に金沢21世紀美術館と川村記念美術館にて大規模な回顧展を開催。近年は、ポートレート作品だけを集めた「Gerhard Richter Portraits」展(National Portrait Gallery, ロンドン)、写真に油彩やエナメルで描いた作品だけを集めた「Overpainted Photographs」展(Museum Morsbroich, レーバークーゼン, Centre de la photographie, ジュネーブ, Fundacion Telefonica、マドリッド)を開催するなど、その多面的な活動は世界的な注目を集め続けている。