私のユダヤ人、原子爆弾、そしてさまざまな作品
レセプション:2012年3月24日 18-20時
協力:スイス大使館
3月24日(土)より、スイスを拠点に活躍するミリアム・カーンの展覧会を開催する運びとなりました。これまで、ドキュメンタやヴェニス・ビエンナーレなど多数の展覧会で作品を発表してきたカーンの、日本初個展となります。
今展では、ひとつの展示空間がそのままひとつの作品として提示される”meine juden(私のユダヤ人)”とともに、近作のペインティング作品とドローイング作品を紹介致します。また、展覧会に合わせてカタログを発行致します。
ミリアム・カーンは、70年代からハプニングやフェミニズム・ムーブメントに影響を受け、ドローイングのパフォーマンスで活動を開始して以来、写真、ペインティング、ドローイングなど、様々なメディアを横断して作品世界を展開してきました。毎回、展示のたびごとに空間の特徴を常に意識するというカーンは、時にインスタレーションのように平面作品を展示し、いくつもの意味が複雑に交差する重層的な鑑賞体験をもたらします。
彼女の作品は、アイデンティティーや戦争、核問題などの具体的な社会問題に正面から向き合う強いテーマ性を持ちながも、たぐいまれな色使いが独特の雰囲気を醸し、幾重にも重ねられた筆使いや背景に溶け込むような輪郭が高い抽象性を備えています。今回展示される”meine juden(私のユダヤ)”と名付けられた空間の展示では、一見ランダムにも見える配置で壁いっぱいに並べられた大小さまざまな色とりどりのポートレートが、また原子爆弾を描いた水彩作品では、重いテーマに相反するかのような鮮明な色合いで描かれた核爆発のアイコンめいた形態の数々が、作家自身の声を不協和音のように響かせます。
また、2月25日(土)、26日(日)に森アーツセンターで開催されるG-tokyoにもプレビューとして作品を展示します。こちらも合わせてご高覧いただけると幸いです。
協力:スイス大使館
ミリアム・カーン Miriam Cahn
1949年、スイス生まれ。バーゼル在住。1970年代より、パフォーマンスやペインティングなど作品を発表。ヨーロッパ各地で展覧会を開催。 Tate Gallery (ロンドン)、Museum of Modern Art of New York (USA)、Kunsthalle of Basel (スイス)、Kunstmuseum Bonn (ドイツ)などに作品が所蔵されている。1982年のDocumenta 7に参加し、1984年にはヴェニス・ビエンナーレのスイス館代表として出品する。