Linnaeus’ Flower Clock / Roll I & II
このたび1月22日(木)より、当画廊におきましてフィオナ・タン展を開催いたします。2回目の個展となります今回は、初期の映像作品“Roll I & II”(1997)、上海ビエンナーレで好評を博した“Linnaeus’ Flower Clock”(1998)を展示いたします。
タンはかねてから古い記録フィルムの断片を用い、オリジナルの映像と音楽でコラージュしたビデオやフィルムを制作しています。Hという人物に宛てたビデオ・レターで綴る“Linnaeus’ Flower Clock”、砂山から転がり落ちる自身の姿を映した“Roll I & II”は、彼女が元来関心を持ち続けている、時間、記憶、そして自身のアイデンティティを映像表現で追求した作品です。
ポピーの花がしぼんだり開いたりする姿、繰り返し水の中に飛び込む人々、横たわった手に静かに流れる砂など、様々なシーンの断片を通して、生と死、そして自然と人間の存在へのメタファーも見えてきます。
インドネシアに生まれ、中国人とオーストラリア人の両親を持ち、ヨーロッパ、アジアの様々な環境で育ってきたタンにとって、どこにアイデンティティが存在し得るのか。文化的、歴史的記憶を辿りつつ、彼女は独自の物語を作り出していきます。
Fiona Tan フィオナ・タン
1966年インドネシア生まれ、オランダ在住。映像作家。中国人の父とオーストラリア人の母を持つ。88年からオランダに移り92年までアムステルダムのアカデミー、96年-97年に同地の国立美術学校に学ぶ。2000年、京都国立近代美術館での「STILL/MOVING 境界上のイメージ―現代オランダの写真、フィルム、ビデオ」に出品。2001年ベルリン・ビエンナーレ、ベネチア・ビエンナーレ、2001年9月、横浜トリンナーレ、2002年ドクメンタ11に出品。
母国で起こった反中国人暴動によって離散した自身の家族を追うドキュメンタリー・フィルム“May you live in interesting times”(1997)がヨーロッパで高い評価を受ける。しばしば既存の記録フィルムを素材に用い、彼女自身が撮影した映像とテキストを織り交ぜて新しい物語を構成する。アジアとヨーロッパで育ったタンは、自身のアイデンティティを追求する上で独自の映像言語を確立しており、現在の数多くの映像作家の中できわめて異彩を放っている。