it's all Rheydt
ワコウ・ワークス・オブ・アートでは、2014年10月10日より、ドイツ人作家グレゴール・シュナイダーがインドのコルカタで行ったプロジェクト《it’s all Rheydt》の映像作品を展示します。
《it’s all Rheydt》は、2011年にインドに招かれたシュナイダーが、コルカタを含むベンガル地方で毎年開催される大規模な祭典「ドゥルガ・プージャ(女神ドゥルガの祭り)」に参加して実現したプロジェクトです。「Rheydt(ライト)」とは彼が今も暮らす生地の地名であり、彼の多様な作品群を貫く重要なキーワードにもなっています。今回のプロジェクト《it’s all Rheydt》では、 現地の職人と協働し、現地の素材を使い、Rheydtの町にあるごく普通の道路をそのまま再現した巨大な構造物をつくり、それをコルカタの道路の上に垂直に立て、女神像をまつるパンダル(pandal=祭典のための仮設の寺院)として設置しました。このパンダル内に置かれた女神像は最終的にすべてフーグリ川に浸され、そのまま流されることで祭典が完結します。シュナイダーは流された女神像を川の下流で引き上げ、翌年、立体作品としてドイツで発表しました。
映像作品の他に、これまでの代表作を含めた彼のさまざまな写真作品と立体作品も展示しますが、多くがこの「Rheydt」というキーワードとの関連性を持っています。「ヨコハマトリエンナーレ2014」にて最新の 大型インスタレーション《German Angst》(ジャーマン・アングスト)を発表し、日本での関心も高まっているグレゴール・シュナイダーについて、理解を深めていただける機会となります。ぜひご高覧ください。
グレゴール・シュナイダー
1969年、ドイツ・ライト生まれ。同地在住。12歳で作品制作を開始し「時間と空間は過去から未来にかけて蓄積されていく」という考えを基に、過去の記憶が残る場所を外部の時間/空間から遮断するため、自宅の室内に断熱材と鉛を用いた壁で囲まれた新しい空間をつくり続けている。1985年、16歳にして初の個展を開催、その後コンスタントに作品を発表し、2001年、第49回ヴェネツィア・ビエンナーレのドイツ館代表に選出される。彼の故郷ライトの自宅と同様に、ドイツ館の内部を、家具のある白い部屋や様々なオブジェが置かれた薄暗い空間などに分割し、狭い通路で結んで、観客が中を通れるようにした。このインスタレーション作品「死の家」によってビエンナーレ最高賞である金獅子賞を受賞。その後、ロサンゼルス現代美術館やK21美術館(ドイツ)、MMK(フランクフルト)などで大規模な個展を開催し、またドイツ国内に限らずロンドン、ワルシャワ、ミラノ、イスラエル、オーストラリアなどでも個展を開催している。2008年Peillprize受賞。近年はハンブルグ現代美術館やメンヒェングラートバッハ美術館に大規模なサイト・スペシフィックの彫刻/空間を展示している。現在開催中の国際展、ヨコハマトリエンナーレ2014では、新作の大型インスタレーション作品を展示している他、9月から開催されているドイツのルール・トリエンナーレでは、展示会場となった美術館の入口自体を変容させる製作を行っている。2014年Wilhelm Loth Prize受賞。