INSiDe an EMPTy House
今年初頭に開催した企画展“Transform the world 2002”においては、昨年9/11の同時多発テロに関して当画廊のオーナーが「アートに何ができるのか」を真摯に考え、ポリティカルなイメージの作品を厳選して展示いたしました。今展 “inside an empty house” においては、それに呼応、賛同したアーティスト、ヘンク・フィシュがキュレーションを行い、ジョーン・ジョナス、スーチャン・キノシタと共に3人展を行います。映像、彫刻、インスタレーションによる展示となります。
展覧会タイトル”Inside an empty house(空っぽの家の中)”とは、昨年のテロが起こった際にヘンク・フィシュの心の中に忽然とあらわれたイメージであり、彼の心象風景と言えるものです。
「そういったイメージがどこからあらわれるのか、人間には知りえない」とヘンク・フィシュは言います。「イメージだけではなく、言葉、思考、想像や、自分が自分であるということ、そういったことの「始まり」について人は知ることができない。今回の展示作品“ ‘O la’ u upu ‘ia’ ita (Your words to me) ”に無数のペンが突き刺さっているように、外から私の内側に何かが描くのだ。私が私であるということを」。
展覧会タイトル”Inside an empty house”には様々な意味がこめられています。無防備で、ひどく傷つきやすい心の状態。希望も助けもない場所。しかしだからこそ、新しい生き方を始めるチャンスであるということ。「恐ろしい空っぽの空間に、希望が満ちている」とヘンク・フィシュは描写しています。
「空っぽの家の中」には、怖れと希望とが同時に存在しています。今回の展覧会のために制作された同タイトルの詩にある「彼は結婚する 君くらいの年頃の 名無しの女の子と」という一節はそういった状態を示しています。
また、空っぽの家とは「ゼロの状態から素晴らしいアートが始まる場所、つまりギャラリー空間そのもののことでもある」とヘンク・フィシュは語っています。