from/to #2
9月1日(水) 18:00-20:00
ワコウ・ワークス・オブ・アートでは7月より、厳選された若手作家による展覧会のプロジェクトを開始致しました。7月に開催の第1回に引き続いて第2回となる今展では、中山美央子のドローイング、矢部奈桜子のペインティングをそれぞれ新作でご紹介します。
「日々の営みをあらわにして、別の生成に還元する。」生きる上で必要なものを得るために、消費や破壊といった行為を記憶にとどめること―― 中山はそれを作品制作の基本に置いている。たとえば黒で覆われた背景の中から白く浮かび上がるハクモクレン。これは、植物の種類としてそれを描いているのではなく、彼女自身の記憶や体験、意識あるいは無意識といったものがハクモクレンを形作っているという。はかなさが漂いながらも強度が備わったイメージの中には、細やかに揺れる感情が潜んだ、瑞々しい世界観が形成されている。
一方、ペインティングを制作する矢部は、日常の見慣れた風景の中に隠れる「あまりに身近で距離を置いて見ることが出来ないもの」に焦点を当てる。プラタナスの樹皮や、色があちこち剥がれかかった古い壁。矢部はそれらの物質と各々の距離で対峙し表面をいったん写真でとらえ、それを絵画に起こす事で目で視たものの感触をより深く探る事を目指す。対象に向けるその視線と集中力が、画面に表情豊かな広がりをもたらし、新しい絵画表現の境地へと踏み出している。
*from / to : from now to the future の意味を込めて、今後5年間、毎夏に日本の若手作家を紹介していきます。
中山 美央子 Mioko Nakayama
1979年東京生まれ。武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。2004年、東京オペラシティアートギャラリー project N にて個展。
矢部 奈桜子 Naoko Yabe
1978年大阪生まれ。2004年京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程、絵画専攻油画修了。主な展覧会に2001年、大阪・ギャラリー千にて個展、「イメージの新様態・ZOOM & FOCUS」(2003、ギャラリーすずき、京都)、「矢部奈桜子」展(2004、ギャラリーそわか、京都)がある。