Drawings 2018-2022 and Elbe 1957
新型コロナウイルスの感染予防・拡散防止に関する東京都の方針に基づき、マスク着用でのご来場の上、会場内での会話は最低限にお留めください。飲食物のお持込はお断りしております。
障害者手帳をお持ちのかたとお連れ様はご予約不要です。ご提示ください。
ワコウ・ワークス・オブ・アートではこの度、2022年6月11日(土)から7月30日(土)まで、ドイツ人作家ゲルハルト・リヒターGerhard Richterによる12度目の個展『Drawings 2018–2022 and Elbe 1957』を開催いたします。
本展で展示するのは、2018年から2022年に描かれた新作のドローイング作品18点と、65年前に制作された31点組の版画作品《Elbe [Editions CR: 155]》のエディション版です。すべて日本初公開となります。
ゲルハルト・リヒターは2017年を最後に油彩画の制作から身を引きました。それからはドローイング作品のみに注力しながら、90歳を迎える現在も精力的な活動を続けています。リヒターの描く最新のドローイングでは、定規やコンパスを用いた機械的な線と変則的で輪部を持たない色彩とが多層的に交わっています。これらの抽象画においては、あたかもリヒターの複雑な油彩画から本質的な要素だけを抽出して描き出したかのような、ドローイングならではの魅力あふれる画面が構成されています。
「それはアブストラクト・ペインティングで遂行されていることの核心を、机上の紙とペンだけで実行する、いわば骨格に還元されたアブストラクト・ペインティングであろう。」
(本展カタログ収録 清水穰「存在しない面のために ゲルハルト・リヒターの抽象ドローイング」より)
同時に展示する31点組の《Elbe [Editions CR: 155]》(2012年)は、1957年に若き25歳のリヒターがスケッチブックにゴムローラーを用いて描いた版画が元になったエディション作品です。リヒターは1961年にドレスデンから西ドイツへと移住しました。その際に友人に預けていたオリジナルの版画が、2012年に精密な写真撮影とインクジェットプリントとで再現され、正式なエディション作品として目録に加えられました。ローラーの使用や風景や人物と抽象とのバランスなど、後年に磨かれていく作風の前触れのような要素が多く見られる貴重な作品です。
さらに本展では、これまでリヒターが筆致に込めてきた思想をめぐる3つのエディション作品《Snow-White [Editions CR: 132]》(2005年)、《Sils [Editions CR: 170]》(2015年)、《PATH [Editions CR: 176]》(2018年)も同時に展示いたします。
リヒターの最初期と最新の作品が65年の時をまたいで同時に揃う本展覧会を、是非この機会にご高覧ください。
さらに本年6月からは、東京国立近代美術館と豊田市美術館とを巡回する大規模な回顧展「ゲルハルト・リヒター展」も開催されます。
カタログ発売
Gerhard Richter Drawings 2018-2022 and Elbe 1957
6月11日からギャラリーで先行販売
6月下旬以降にオンライン発売開始
エディトリアルデザイナー:森大志郎、小池俊起
展示ポスター発売
ゲルハルト・リヒター
1932年ドレスデン生まれ。ケルン在住。イメージの成立条件を問いながら、人がものを見て認識するという原理に一貫して取り組み続けている。 東ドイツで美術教育を受けたが、西ドイツ旅行中に出会った抽象表現主義に強い影響を受け、ベルリンの壁ができる半年前に西ドイツへ移住。デュッセルドルフ芸術アカデミーで学んだ後、コンラート・フィッシャーやジグマー・ポルケらと「資本主義リアリズム」運動を展開。1964年にミュンヘンとデュッセルドルフで初の個展を開催し、1972年のヴェネチア・ビエンナーレを皮切りに、ドクメンタ(5、7、8、9、10)等、多数の国際展に参加。1997年、第47回ヴェニス・ビエンナーレ金獅子賞を受賞。これまでに世界のトップミュージアムで多くの個展が開催され、主な会場にはポンピドゥー・センター(パリ、1977年)、テート・ギャラリー(ロンドン、1991年)、ニューヨーク近代美術館(2002年)、テート・モダン(ロンドン、2011年)、メトロポリタン美術館(ニューヨーク、2020年)など。2016年には、初のパーマネントスペースを瀬戸内海の愛媛県にある豊島(とよしま)にオープンしている。