二羽の鳥と石と馬
レセプション:2012年 9月8日 18:00 – 20:00
協力:オランダ王国大使館
2012年9月8日(土)より、ワコウ・ワークス・オブ・アートにて、開廊20周年記念展の第一弾として、ヘンク・フィシュ企画の3人展「Two birds, a stone and a horse(二羽の鳥と石と馬)」を開催致します。
この展覧会では、オランダのヘンク・フィシュの作品とともに、トルコを代表するアーティスト、アイシェ・エルクメン、ドイツの新人アーティスト、クリスティーナ・ベルニングの、主に新作の立体作品を発表いたします。
ヘンク・フィシュは、詩人のような独特の思索からフォルムを導き出し擬人化した立体や、抽象的な造形で知られています。今展では新作のブロンズ作品の他、近年新たな展開を見せている、ワイヤーを主な素材とした人体を思わせる立体作品、ドローイング作品等を展示します。
アイシェ・エルクメンは、既成のものを素材とし、新たな空間に配置し直すことで、鑑賞者に身体性をともなうユニークな鑑賞体験を与えます。今回の展覧会では、インターネットで自らの名前を画像検索し、ポートレートを制作した《On Its Own》を展示します。この作品により、インターネット上に存在する画像の所属先の不明・不透明性、またブラウザーや国によって結果が変化すること等のシステムを問い直します。その他、特殊なスピーカーを用いたサウンド・インスタレーション《Ewig Dein》、そしてポンポンの一本一本に自らの名前をあしらった作品を展示する予定です。
クリスティーナ・ベルニングは木材、プラスター、さまざまな拾得物などの日常的な素材を、粗野で未処理な特徴を残したままで使い、一見もろく見える作品を制作します。こうして出来た作品は、西洋美術がよりどころとしている、自然や現存する事物の模倣という定義の解体、再構築をこころみるものです。彼女により生み出された非現実的な造形は、鑑賞者に、形態と空間の概念についての再解釈を迫ります。
「これはおもに不可視性についての展覧会だ。台本はない。ただ、物語はある。素晴らしい物語はいくつも存在するが、ここでは、見えない鳥たち、見えない石の数々、そして一頭の見えない馬だけが関係している。これは滅多にないことだ」 (ヘンク・フィシュ 刊行予定のブックレットより)
レディメイドの素材を斬新な構成で変容させるアイシェ・エルクメン、具体と抽象の間を自在に行き来するヘンク・フィシュ、生のままの素材を使いながらも非具象的な表現をおこなうクリスティーナ・ベルニング、3人のそれぞれ異なる立体表現が一堂に会する今回の3人展は、作品と鑑賞者、そして作品が提示される空間と作品そのものの関係性に新たな視点をもたらします。
協力:オランダ王国大使館
アイシェ・エルクメン
1949年トルコ生まれ、イスタンブール及びベルリン在住。トルコを代表する現代アーティスト。2011年ヴェニス・ビエンナーレのトルコ館では、会場内に自らつくった複雑な浄水システムを置き、その中を観客が歩けるようにした。1997年に参加したミュンスター彫刻プロジェクトでは、教会の使用を希望するも許可が下りず、その教会の上空で、近隣の美術館から借用した15〜17世紀の彫刻作品をヘリコプターから吊るして舞わせた。日本では2003年、大阪CASOでの企画グループ展に参加、2006年には越後妻有トリエンナーレに参加している。
クリスティーナ・ベルニング
ヘンク・フィシュ
1950年オランダ、アイントホーヘン生まれ。同地在住。最初の夢は指揮者になることだったが、9歳でこれをあきらめ、その後役者、作曲家、建築家等、様々な職業を志す。1980年、彫刻家になることを決意。最初の作品は560cmの橋で、現在クレラー=ミューラー美術館(オッテルロ、オランダ)のコレクションに加えられている。ヴェニス・ビエンナーレ(1988)、ドクメンタ9(1992)をはじめ、数々の展覧会に出品。近年は西沢立衛建築による森山邸での展示(2006)や、伊東豊雄設計によるシンガポールVivoCity(2006)や北京(2009)でのパブリックアートプロジェクトに参加するなどアジアでも活躍の場を広げており、オランダを代表するアーティストとして世界的な評価が定着している。2012年、オランダのアメルスフォールト美術館で開催された回顧展は大好評を博した。