自らを救った男
このたび5月25日(火)より、当画廊におきましてヘンク・フィシュ“自らを救った男”展を開催いたします。自らキュレーションを行った2002年のグループ展“INSiDe an EMPTy House”以来の新作展となります今回は、最新作の彫刻作品10点と、ドローイング作品10数点を展示いたします。
人間の様々な動きや精神性を作品に表現してきたフィシュは、今回“Immortals(不死の者)”をテーマに、“The man who saved his own life”というタイトルで新作彫刻を発表します。また今展に合わせて出版予定の展覧会カタログテキストにおいても、「不死」をキーワードとして「自らを救った男」についての物語が収録されます。物語の中で展開されていく生と死、そして変化と静寂との絡み合い。
―― ある出来事が記憶へと変化するとき、それが作品のイメージへと繋がる。彫刻は変化をとげる場なのだ。鑑賞者はその作品を見ることによって静寂な瞬間を見出すだろう。そして、その静寂の中にあるものは決して死ぬ事はないのだ。 ―― と、フィシュは語ります。
観る者に不思議な感覚を与えながらも、人間のぬくもりや優しさを感じさせるフィシュの彫刻からは、“Immortals(不死の者)”、つまり「永遠」なるものへの強い眼差しが向けられています。
Henk Visch ヘンク・フィシュ
1950年オランダ、アイントホーヘン生まれ。同地在住。最初の夢は指揮者になることだったが、9歳でこれをあきらめ、その後役者、作曲家、建築家等様々な職業を志す。1980年、彫刻家になることを決意。最初の作品は560cmの橋で、現在クレラー=ミューラー美術館(オッテルロ、オランダ)のコレクションに加えられている。いかなるアートのムーブメントからも隔絶したその独特な彫刻、造形はある種の不気味さとユーモアとを兼ね備えており、観る者に新鮮な驚きをもたらしている。ヴェニス・ビエンナーレ(1988)、ドクメンタ9(1992)等数々の展覧会に出品。