Silence in the Light 光の静寂
9月15日(月・祝)17:00-19:00
このたび9月13日(土)より、当画廊におきまして平川典俊、砂入博史、アート・リンゼイの3名による展覧会「Silence in the Light 光の静寂」展を開催いたします。今回は、平川の写真と砂入の彫刻に合わせ、平川のよびかけによって実現したアート・リンゼイからの詩の作品を展示致します。
平川はこれまで写真、インスタレーション、映像、演劇、パフォーマンスやサウンドなどさまざまなメディアを複合して社会のシステムや制度と個人との関係やその世界観を維新してきました。今回平川は、2年間にわたり静岡県浜岡市(現御前崎市)を訪れ、遠州灘を撮影したシリーズ「In Reminiscence of the Sea(ありし日の遠州灘)」を制作しました。日本によくある風景(遠景が多い)を思わせるのどかな雰囲気が漂うイメージの背後に、その実体を知ることによって始めてその風景の意味や視点が反転するこのシリーズはその危機感のなさによって一層、その見えないリアリティの重さを感じることになります。
砂入は18歳で渡米し、ニューヨークを拠点に写真やパフォーマンスなど展開し、近年はインスタレーションや彫刻も制作しています。今回は、インドの説話「盲人と象」に基づいた作品 ”Elephant Dinner(象の夕食)“ というインスタレーションを発表します。このインスタレーションは、2007年に発表した「白い象」の後編で、食器、家具、日常品のように、陶器の象の身体の部分部分はテーブルにアレンジされています。「白い象」では実物大の象の体の部分部分が散らばった情景を9.11同時多発テロの追憶として発表しました。「象の夕食」は「白い象」と同じく白い陶器で作られ、「盲人と象」で説かれている相対性を象の体の抽象的なフォルムで表現しています。
「盲人たちよ、象を見たことがあるか、象がどのような動物か言ってみよ?」 盲人たちが象に触れた時、王はそれぞれに質問をした。 頭を触った者はこう答えた、「象は鉢のようです。」 象の耳を観察した者は、「象は箕のようだ」と。 象の牙を触ったものは、「犂の歯」と言い、象の鼻を掴んだものは「犂」と言った。 そして象の体を感じた盲人は、「象は納屋」と、足を触ったものは、「柱石」といい、背中は「しっくい」、尻尾の毛は「筆」と。 ——-ウダーナの感興詩より
アート・リンゼイは、70年代後半からニューヨークの音楽シーンで幅広く活躍。ジャンルにとらわれることのない音楽性は、多くのアーティストに影響を与え、音楽の分野を超えたコラボレーションも展開しています。今回の展示では、平川のよびかけにより、手書きの詩を書き下ろします。
同時開催 :
平川典俊 at NANZUKA UNDERGROUND (渋谷)
「正面玄関」
9月13日(土)〜 10月12日(日)
レセプション 9月13日(土)19:00-21:00
カクテルパーティー 9月15日(月・祝)19:30-21:30
平川 典俊 Noritoshi Hirakawa
1960年福岡県生れ。1993年よりニューヨーク在住。大学で応用社会学を学び、フィールドワークとして20か国以上をまわる。1988年以降、世界各地の美術関係者と会い、直接自分の考え方を説明し、作品の発表の場を探しながら文化的差異がもたらす認識やそれぞれの文化での社会と各自己の関わり方をテーマにアーティスト活動を開始。これまで数々の写真作品を美術館で発表している。(ポンピドーセンター、フランクフルト近代美術館、チューリッヒ・クンストハーレ、ニューヨークPS1美術館、セゾン美術館、横浜美術館他)
砂入 博史 Hiroshi Sunairi
http://sunairi.blogspot.com/
1972年広島生まれ。1990年18歳で渡米し、1995年よりニューヨークに移り作家活動を始める。現在はニューヨーク大学の非常勤教授もつとめる。「象の夜」広島市現代美術館(広島)や『仏陀』アートアンリミテッド、アートバゼル(スイス)での個展の他、「Making a Home: Japanese Contemporary Artist in New York」ジャパン・ソサエティ、ニュー・ヨーク(2007)など数多くの展覧会に参加、また「アジアン・コンテンポラリー・アート・コンソーティアム08:アーチスト・イン・カンバセーション・ウィズ・照屋勇賢」(ニューヨーク大学)などの、キュレーションや講演など、活動は多岐に渡る。
アート・リンゼイ Arto Lindsay
http://www.artolindsay.com/
1953年アメリカ生まれ。ギタリスト、歌手、プロデューサー、作曲家。3歳の頃に両親と共にブラジルに移住、17歳まで過ごすことになる。ブラジルの生活の中で経験したブラジル音楽に非常に影響を受ける。これまで坂本龍一やドイツの劇作家ハイナー・ミュラーや、ブライアン・イーノ、ヴィト・アコンチなど数々の音楽家やアーティストとコラボレーションを手がける。