'Rise and Fall' and New Works
レセプション:2011年9月10日 18-20時
このたび、9月10日(土)より、ワコウ・ワークス・オブ・アートにおいて、フィオナ・タンの個展を開催致します。
当ギャラリーで5回目の個展となる今回、第53回ヴェネチア・ビエンナーレで話題となった、ある女性の記憶と時間の流れをとらえた大型ビデオ・インスタレーション「Rise and Fall」の他に、新作「Brendan’s Isle (ブレンダンの島)」(2010)、「Hans & Helge」(2011)を展示します。
フィオナ・タンは、これまでは既存の写真やフィルムを用いた作品が多かった中、近年では自らが監督となり、役者を使って、入念に設定された映像のインスタレーションを発表しています。また、生い立ちを背景に、グローバリズム、ポストコロニアリズム論の文脈に位置付けられる作品や、他者論を意識した作品から一転して、現在は映像・イメージそのものと時間、記憶、そして言葉や物語の関係性について探求する作品の発表が続いています。
「Rise and Fall」は二枚の縦長のスクリーンによる、映像と音響のみのインスタレーションです。時間の流れ、静止することを知らない自然と人間の動き、記憶と感情の揺らぎといった様々な要素が水と人物を通してあらわされ、またダブルスクリーンの間に起きるわずかなズレで生じる違和感により、映像やイメージに頼る記憶の正確性を問い投げかけます。タン本人の朗読によるオーディオ作品「Brendan’s Isle (ブレンダンの島)」では、6世紀に実在した、幻の楽園を探し航海に出たアイルランドの修道士の物語が語られます。そしてスウェーデンのゴットランド島で撮影された映像作品「Hans &Helge」では、静かな生活をおくる住民達の日々が丁寧に描き出されています。
映像とイメージ、時間と記憶について考察し、また言葉と物語の関係性についての探求をおこなうフィオナ・タンの近年の代表作と最新作を、この機会にぜひご高覧下さい。
また、本展にあわせ、テキストシリーズ第4弾「フィオナ・タン エッセイ」を出版いたします。
協力:オランダ王国大使館
フィオナ・タン
1966年インドネシア生まれ、オランダ在住。映像作家。中国系インドネシア人の父とスコットランド系オーストラリア人の母を持つ。88年からオランダに移り、92年までアムステルダムのアカデミー、96-97年に同地の国立美術学校に学ぶ。ヴェニス・ビエンナーレ、イスタンブール・ビエンナーレ、 ICPトリエンナーレ、ドクメンタ11、ベルリン・ビエンナーレ、横浜トリエンナーレなど、これまで数多くのアートショウに参加、精力的に制作活動を続けている。2009年には第53回ヴェニス・ビエンナーレにオランダ代表として出品、2010年よりヨーロッパとアメリカの美術館を巡回する個展「Rise and Fall」を開催。2010年ヴェニス建築ビエンナーレでは、犬島で妹島和世建築のハウスプロジェクトと共存する島と人々をとらえた映像作品を発表した。