リヒターとトゥオンブリー 新作エディション展
2011年5月7日(土)より、ゲルハルト・リヒターとサイ・トゥオンブリーの二人展を開催致します。
この展覧会では、ゲルハルト・リヒターの、ガラスとラッカーを用いた作品「アブダラ」のシリーズと、サイ・トゥオンブリーのドライプリント作品「チューリップ」のシリーズを展示致します。
ゲルハルト・リヒターの「アブダラ」は、ガラスとラッカーを用いた絵画作品で、ガラスの裏側に塗られたなめらかなラッカーは鏡のような平板さをたたえており、豊かな色彩による抽象性、そして操作と偶然の絶妙な融合を見ることができます。近年、ゲルハルト・リヒターが精力的に取り組んできたこの手法による作品には他に「シンドバッド」「アラジン」というシリーズがあり、今回はそれらに続く最新作の展示となります。
サイ・トゥオンブリーの「チューリップ」シリーズは、1985年に撮影された写真を、2009年に作品化して発表されたものです。よく知られている彼の大型の抽象作品を思わせるこれらの静物写真は、焦点がわからなくなるほど極限まで対象に近づいて撮影されており、自然への彼の情熱をあらわしているとも言えます。同様の手法をもちいた別のシリーズが、シカゴ美術館で2009年に開催された”Cy Twombly:The Natural World, Selected Works 2000-2007″において紹介されました。
現代アート界を代表する二人の最新作品を、この機会にぜひご高覧下さいませ。
ゲルハルト・リヒター
1932年ドレスデン(旧東ドイツ)生れ。ケルン在住。東ドイツで美術教育を受けたが、西ドイツ旅行中に出会った抽象表現主義に強い影響を受け、ベルリンの壁ができる半年前にデュッセルドルフへ移住。1962年、新聞の写真を元にした油彩(机)に作品番号1をつけ発表。以後作品に番号をつけている。1964年にはミュンヘンとデュッセルドルフでの初の個展、1972年ヴェネチア・ビエンナーレを皮切りに国際展に多数出品。1997年、第47回ヴェネチア・ビエンナーレ金獅子賞、日本において同年、高松宮殿下記念世界文化賞を受賞。日本では2005年に金沢21世紀美術館と川村記念美術館で大規模な回顧展を開催。近年は、ポートレート作品だけの展覧会、写真に油彩やエナメルで描いた作品だけの展覧会を開催するなど、絵画の可能性を追求する多面的な活動が注目を集め続けている。2011年10月、テート美術館で回顧展を開催予定。
サイ・トゥオンブリー
1928年、バージニア州レキシントン(アメリカ)生れ。同地およびローマ在住。ペインティングとドローイングの境界を曖昧にするような、カリグラフィー風の大型作品で知られている。アメリカで美術教育を受け、1950年代半ば、同じくNYで活動していたロバート・ラウシェンバーグ、ジャスパー・ジョーンズらとともにその名を知られるようになる。1959年イタリアに移住。1968年、ミルウォーキー・アート・センターで最初の回顧展を開催。その後大規模な回顧展がヨーロッパ各地で開催される。1995年、ヒューストンの美術館メニル・コレクションにサイ・トゥオンブリー・ギャラリーがオープン。近年では、2009年、シカゴ美術館で “Cy Twombly: The Natural World, Selected Works 2000-2007″、ウィーン・ルードヴィヒ財団近代美術館で”Sensations of the Moment”が開催。2010年3月、ルーブル美術館のために描いた大天井画が公開されるとともに、芸術文化勲章のシュヴァリエが授与された。